2019.01.21 日本の美~『日本の美人50年』(ミス日本協会編)発売に寄せて~
かつての日本人が抱いていた「日本の美」というものを突き詰めると
「無」に辿り着く。
「無」は「有」也。
宇宙が内包するありとあらゆるエネルギーが渾然一体となり
見事に調和しているゆえに
音もなく
色もなく
恐ろしいほどに寂として澄み渡り
姿無くとも重々と圧在りて
高次なる生命の力を感ずる。
その存在に感応し得るべく、
芸術家は自らを芸術品に磨き上げようと努め
武士は刀を通して崇高な魂に至ろうとした。
かくして
晴れて感応し得た瞬間、
人は神を観た。
かように「日本の美」は奥ゆかしく
原始的ですらある。
一説によれば、古代の日本人もまた「常若」を求めた。
しかしそれは
「死は人生における最高のハレ」であるという
当時の深い思想と表裏一体であった。
「人間の寿命が延び続ける時代を
いかに自分らしく美しく生きるのか」という現代日本人の問に、
かつての日本人ならばどのように答えるであろうか。
©Maria Kozuki
ミス日本コンテスト50周年を記念して、『昭和・平成そしてあたらしい時代の美人とは 日本の美人50年』(一般社団法人ミス日本協会編 近代消防社刊)が発売されました。
ミス日本コンテストご関係者の皆様、誠におめでとう存じます。
「ミス日本」の歴史は1947年に遡り、敗戦後の日本にアメリカから食料などの援助が送られ(ララ物資)、その人道的な行為に対して国を代表して派遣されたのが「ミス日本」の誕生でした。
会長の和田薫先生はこのご本の冒頭で、次のように述べておられます。
「美しさは授かるものではなく、磨くものという意志を受け継ぎ、私たちは「日本らしい美しさ」を目指すことを掲げました(中略)歴史の区切りに際し、美しさへの探究の歴史を辿ることで改めて美しさとはなにかを示し、そして将来の日本に健全な美の姿を継承してまいります。」
他にも様々な分野の先生方が「日本の美」についてお話になっておられます。僭越ながら私もファイナリスト勉強会の講師の一人としてお話をさせて頂いております。
是非とも多くの方にお読み頂きたい一冊でございます。