Elegance Lore

エレガンスの伝承

エレガンスの神髄は
高度に洗練された自然体
日々の暮らしは
自らを芸術品へと磨き上げる 道程

The essence of an elegance is a Japanese-Zen mind.
Everyday life is a journey to polish oneself with a work of art.

Maria Kozuki

Maria Kozuki
©Kuninobu Akutsu

上月マリアの言葉と語りをお届けいたします

言葉・語り Maria Kozuki
音楽 「Blessed Life 〜生命礼讃」
作曲 Maria Kozuki 編曲 Yu Takao

淑女の精神

美しさについて

神様のお姿

先が見えない時には

誰もが持つ至宝

祈り 〜for True Peace〜

淑女の生き方

2019.05.2 信を得る道

ヨーロッパにも古くから、王侯貴族の教育がございます。平易に申し上げれば、国民に心から信頼され尊敬され愛される、「本物の王」「本物の貴族」になるためのご教育です。

王族や貴族という家に生まれたから、或は、嫁いで在位するからというだけでは、国民の多くは納得いたしません。
王家ならば、国父・国母としての明確な自覚を持ち、相応しい人格と能力を養うための弛みなき努力を続けること。
世の平和と人々の幸福のために全身全霊で尽くす姿を、公務等を通じて身をもって示してゆくこと。
こうしたことの継続が徐々に国民の信を得、やがてゆるぎない尊敬へと昇華してゆくものと存じます。

我がままは許されない運命でもあります。
伝統の継承と時代に即した改革の両立においては、すぐれたリーダーシップも求められましょう。
しかしこのような難題に対して、近年民間から嫁がれたヨーロッパ各国のプリンセス方は真摯に取り組まれ、国民の親愛を得ておられますことは、多くの人の知るところではないでしょうか。

天皇陛下と雅子様の道は、今日から本格的に始まることとなります。
令和という元号が 日本人の心に馴染んでゆく先には、きっと、
両陛下と人々との間に育まれた、心からの信頼と愛情がございますことでしょう。
そのようになりますことを切に願う次第です。
  
ところで、この機会に何か皇室関係のご本でも・・・とお考えの方がいらっしゃいましたら、この一冊をお勧めしたいと存じます。
『心にとどめておきたい 美智子さまの生き方38』渡邉みどり著(朝日新聞出版)
帯には「今こそお手本にしたい うつくしい生き方。日本が生み出した傑出した人間のふるまい、ことば、こころ」とございます。
ぜひ・・・。

     
  

 

 

2019.05.1 令和への願い

令和元年の初日を迎え、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。

令和が慶びの多い時代となりますように。
上皇上皇后両陛下が全身全霊をもってお示し遊ばされた
人々への真の慈愛と平和への深き祈りが
新しい天皇皇后両陛下にも受け継がれ、
天地人響き合い和を成して、
日本に、万物に、幸福がもたらされますことを切に願いやみません。

今日もあなたと共に
このお祝いを分かち合いたいと存じます。

  
  
   

 

2019.04.30 平成天皇と美智子様の長い道のり

今日は天皇皇后両陛下というご夫婦、また、ご家庭という観点から、平成を振り返ってみたいと思います。

今上陛下は、昭和59年4月6日、ご結婚25周年を機に行われた記者会見の中での「家庭づくりの基本的な考えと、これまで苦労されてきたことをおきかせください」という質問に対して、このように答えておられます。

「孟子の中に『国の基は家にあり』という言葉がありますけれども、家族という身近な者の気持ちを十分理解することによって初めて、遠いところにある国民の気持ちを実感して、理解できるのではないかと思っております。子どもたちに対しても家庭を大切にするように教えてきたつもりです」

同じ質問に対して、美智子様は「基本的な考えというようなしっかりとしたものはあまりございませんでした」とお答えになり、「ただ、私自身おそばに上がらせて頂いた時からずっと東宮様(現天皇陛下)にすべて受け入れて頂いて、安らいだ気持ちの中で導かれ、育てて頂いたという気持ちが強いものでございますから、そうした幸せな経験を今度は子供たちの上に活かしていきたいとずっと願って参りました。その人が一時それにふさわしくなくても、受け入れるところが家庭なのではないかと今はそう思っています」とお話になられました。

美智子様は折に触れ、陛下への深い敬慕の念と感謝の想いをお話し遊ばされます。そして、陛下もそれを深く受け止めていらっしゃいましたことは、国民の多くが知るところでございましょう。

日本の皇室史上初めての民間からのお妃様ということで、よそからは計り知れない御苦労をなさいました美智子様は、皇室にお入りになって5年目になられた頃、「いつになったらこの暗いトンネルから抜け出すことができるのか」と、記者団に対してお話になっておられます。

現在の天皇皇后両陛下は、世界から「まるで聖職者のようだ」と、最も高い賛辞をもって讃えられます。
神々しく輝く現在のあのお美しいお姿の裏には、想像を絶するお辛い出来事が多々おありでしたことを拝察せずにはいられません。

自分と同じ人間は一人もおりません。また、自分がそうであるように、誰にでも弱い面がございます。だからこそ、人は互いに許し合い、見守り合い、助け合って生きてゆく。そうすることによって、互いの間に信頼関係が生まれ、尊敬の念が深まり、ゆるぎない本物の愛情というもので結ばれて参ります。
この夫婦としての理想の姿、人間としての見事な生き方を、昭和と平成の長きに渡り天皇陛下と美智子様が身をもってお示し続けてくださっておりますことに、しみじみと、日本に生きる幸せを想うのです。

今日は平成最後の日。
いつも長めの我がブログですが、今日はここからさらに書かせて頂きますこと、お許しくださいませ・・・

天皇皇后両陛下の御長女・黒田清子さんが紀宮様でいらした頃、
平成17年4月18日に行われた紀宮様36歳のお誕生日のご会見のお言葉をご紹介させて頂きたく存じます。

「両陛下のお姿から学んだことは、悲しみの折にもありました。事実に基づかない多くの批判にさらされ、平成5年の御誕辰(誕生日)の朝、皇后様は耐え難いお疲れと哀しみの中で倒れられ、言葉を失われました。当時のことは私にとり、まだ言葉でまとめられない思いがございますが、振り返ると、暗い井戸の中にいたようなあの日々のこと自体よりも、誰を責めることなくご自分の弱さを省みられながら、ひたすらに生きておられた皇后様のご様子が浮かび、胸が痛みます。私が日頃からとても強く感じているのは、皇后様の人に対する根本的な信頼感と、他者を理解しようと思うお心です。
 皇后様が経てこられた道にはたくさんの悲しみがあり、そうした多くは、誰に頼ることなくご自身で癒されるしかないものであったと思いますし、口にはされませんが、未だに癒えない傷みも持っておられるのではないかと感じることもあります。
 以前皇后様が、『人は一人ひとりの人生を生きているので、他人がそれを充分に理解したり、手助けしたりできない部分を芯に持って生活していると思う。・・・そうした事実をいつも心にとめて人にお会いするようにしています。誰もが弱い自分というものを恥ずかしく思いながら、それでも絶望しないで生きている。そうした姿をお互いに認め合いながら、懐かしみ合い、励まし合っていくことが出来れば…』とおっしゃった御言葉がよく心に浮かびます。
 沈黙の中で過去のすべてを受け入れてこられた皇后様の御心は、娘である私にもはかりがたく、一通りの言葉で表すべきものではないでしょう。でも、どのような人の傍らにあっても穏やかに暖かくおられる皇后様の御心の中に、この御言葉がいつも息づいていることを私は感じております(後略)」

(参考『天皇家の姫君たち』渡辺みどり著 文春文庫 『心豊かなお子さまに』松崎敏彌著 たちばな出版)

やはり、平成が終わりますことは寂しく存じます。ですが、平成天皇皇后両陛下は上皇・上皇后となられ、明日からもお健やかにあられ、平和を祈り続けてくださいますことを思いますと、私個人といたしましては、「今までありがとうございました」という過去形ではなく、「今までありがとう存じます。これからもどうぞお願い申し上げます」という、現在進行形の感謝の気持ちでおります。

 

 

 

 

 

 

 

2019.04.27 「三種の神器」に込められた精神

初夏の清々しい空のもと、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
 天皇陛下の御退位と御即位を控え、皇位継承の証である「三種の神器」という言葉がニュースでも流れて参りますね。そこで今回は、僭越ながら、わたくしの著書『皇室に学ぶプリンセスマナー』(大和書房)の中から「皇室が継承する『三種の神器』に込められた精神」をご紹介させて頂きたく存じます。
少し長くなります旨、お許しくださいませ・・・

以下、「皇室が継承する「三種の神器」に込められた精神」(『皇室に学ぶプリンセスマナー』大和書房 より)

 神道の根幹にある「三種の神器」をご存じでしょうか。
三種とは「鏡(八咫鏡:やたのかがみ)」「玉(八尺瓊勾玉:やさかにのまがたま)」「剣(草薙剣:くさなぎのつるぎ)」のことで、皇位の御印とされるものです。天皇家は2600年の長い歴史を持つとされますが、三種の神器は現在も、皇位を継承の際に新しい天皇陛下に受け継がれています。そして素晴らしいことに、受け継がれるものは、形だけではありません。

 裕仁親王(のちの昭和天皇)の倫理の御教育にあたられた杉浦重剛氏の「倫理御進講草案」には、このように書かれています。
「神器に託して与へられたる知・仁・勇の教訓は、
国を統べ民を治むるに一日も忘るべかざる所にして、
真に万世不易の大道なり」

 つまり、大切なことは、神器という形だけを継承することではなく、むしろ、「鏡」「玉」「剣」に託されている「知」「仁」「勇」の精神と行いを受け継ぐことである考え、そのためのご教育がご幼少の頃から行われているということです。

「知」「仁」「勇」とは儒教の教えの中心をなすもので、これを「三徳」申します。

 鏡は「知」を伝えます。鏡はほこりで汚れていては、使いものになりません。曇りなく美しく磨かれてこそ明るく輝き、真実を映します。「自分の心もこの磨かれた鏡のように清明に(清らかで明るく)し、曇りのない素直な心で物事に向き合いましょう。そうすれば、物事の善悪を判断する力が自ずと備わります。そのためには物事の本質、歴史、古人の教訓を学び、また、様々な学問を修めなさい」。鏡にはこのような教えが託されています。ちなみに、欲や感情に振り回され、むやみに物事をひねくりまわして考えることは「知」ではなく「愚」。曇った鏡には真実は映らず、多くの人を惑わせてしまいます。これではリーダーは務まりません。

 玉は「仁」を象徴するものです。仁は「思いやり」を表す言葉で、天皇家の男性のお名前にはこの「仁」の文字がつけられます。勾玉は、陰と陽という相反する性質が合わさり玉となるその姿から平和の象徴とされ、仁と同様、円満で穏やかな人柄を表します。自分も自然界の一員として生かして頂いているのだという謙虚な心、多くの人に支えられて生きていることへの感謝の心など、真に自他を思いやり、一人の人間として愛し愛される人柄になることの大切さが、玉には込められています。

 剣は「勇」を表します。公明正大に、理念と責任感をお持ち、人々を守り抜く勇気を持つことを伝えています。また、剣には邪を祓い清明を保つという意味も込められています。

 ところで、西洋の王侯貴族の教育(ノブレス・オブリージュ)では「知(知性)」「情(思いやりの心)」「意(志と勇気)」が、紳士・淑女の精神と振る舞いの規範とされています。国は異なりましても、紳士・淑女教育の目指すところは同じ。未来のリーダーに対して行われる教育の柱は、普遍的な人間教育であると申し上げることができるのです。
  わたくしたち女性の「自分磨き」も同じではないでしょうか。三種の神器に込められいてる「知」「仁」「勇」の心を大切にするライフスタイルは、本物の気品を育み、あなたを幸せな美しい女性へと高めてくれる確かな道です。

しみじみと味わう平成の終わりと
夢のある令和の始まりを・・・・

 

 

 

 


 

 

 

1 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 37